最終更新日 2023-06-19
事業で取り扱う製品が商標登録されているかどうか意識していますか?
自社ブランドの製品だけではなく、業態によっては他社ブランドの製品を取り扱うこともあると思います。
自社ブランドであれば、商標登録されているかどうかは自社のことなどですぐにわかるでしょう。他社ブランドの製品の場合、商標登録について確認しないまま取引きを開始することもあるのではないでしょうか。
この記事では、
について解説します。「商標登録とは?」「商標登録の手続きは?」などについて知りたい方は、特許庁のウェブサイトの「商標制度の概要」をご覧ください。
1.商標登録されていない商標が含まれた製品を販売すると、どのようなリスクがあるか?
その商標が、他人の登録商標(商標登録されている商標)と同一である場合や、紛らわしく似ている場合には、登録商標の所有者から、その商標権を侵害するとして、商標使用の中止を求められたり、損害賠償を請求されたりするリスクがあります。訴訟に発展するリスクもあります。
有効な反論材料がなく商標の使用を中止せざるを得ない場合には、市場に出ている商品の回収、問題の商標が表示されたラベルの貼替え、必要であれば別のネーミングの採択など、商標権者からの要求内容にもよりますが、適切な対応を迅速に行わなければなりません。
このようなことが実際に起こったら、会社イメージの低下もさることながら、製品回収など多大な手間と費用が費やされ、経営にとって大きなダメージとなります。
2.どうすれば事前にリスクを避けられるか?
自社製品の場合は、販売する前に商標登録を確保しておくことが最善です。しかし、商標の登録手続には半年から、長い場合は一年以上かかる場合もあるため、相当前から準備を進める必要があります。
時間的余裕がない場合は、綿密な商標調査をして問題がないことを確認した上で、商標登録出願を済ませた後に使用を開始するようにしましょう。
他社製品を販売する場合は、取引開始前に、製造元などがその製品に使用する商標について商標登録を取得していることを必ず確認するようにしましょう。万が一、製造元が商標登録を取得していない場合は、その製品を販売するには大きなリスクがあります。商標の手当てについて、製造元などとしっかりと話し合いましょう。
別の方法として、ノーブランドにすることが考えられます。製品の独自の名前を使わずに、一般名称や明らかに記述的な表現のみを商品名として表示するようにします。一般名称とは製品の普通名称のことをいい、記述的な表現とは製品の品質などを直接的に表す表現のことをいいます。このような商標は、商標登録を受けることが難しいので、他人の商標権を侵害するリスクを減らすことができます。この点については、特許庁のホームーページの「出願しても登録にならない商標」の「1.自己と他人の商品・役務を区別することができないもの(商標法第3条)」が参考になります。
しかし、この手の判断は非常に複雑ですので、ノーブランドの商標を採択する場合でも、弁理士などの専門家の見解を得ておくことをお勧めします。
3.商標登録をすることの3つの本当の意義とは?
他にもいろいろありますが、次の3つの点を挙げます。
- 商標登録をすることは、製品を通じてユーザーとの約束を結ぶことです。ユーザーは商標を目印にして、お気に入りの商品を選択し、購入します。その品質に満足したら、リピーターになり、次も同じ商標の付いた製品を購入するでしょう。製造者・販売者は、ユーザーの期待を裏切らないように、品質を維持・向上するよう努めます。このようにユーザーと製造者・販売者をつなぐ重要な記号となるため、商標を「登録」によって継続的に保護することは、企業として責務の一つでもあります。
- 商標登録は10年毎に更新することができるため、長期にわたって親しまれるブランドを形成するための基礎になります。
- 他社の商標登録を尊重し、自社が権利を主張できる範囲を商標登録により公示することは、同業他社と市場で公正な競争を行うためのビジネスマナーの一つでもあります。
まとめ
ブランドが付けられた製品を業務で取り扱う場合は、それが適切に商標登録されているか確認することが重要です。商標登録されていなければ、早急に手当てをする必要があります。商標登録によってブランドを保護することは、ユーザーを守り、市場での円滑な流通を確保し、企業としての信用を蓄積させるベースとなります。