最終更新日 2024-08-21
「英文メールのサンプルのように上手く書けない」、「書き上げるのに時間がかかる」、「相手に伝わっているか自信がもてない」、など英文ビジネスメールにまつわる悩みはつきません。
でも、そもそも悩む必要は無いかもしれません。「状況が違うからサンプルは使えない。比較できないのだから気にする必要はない」、「日本語と英語では言葉の成り立ちが違うから時間がかかって当たり前。辞書を引いたり英文法を確認したりと手間をかけないとよいものはできない」、「伝えたいことが書けているかを、自分でチェックできればいい」と考えることだってできます。
ビジネスで使うメールには、面談のアポ取りや、費用の見積もりなど、具体的な目的があります。自分が送ったメールに対して、望んでいた内容の返信を相手から受け取ることができれば、メールの目的が果たされたといえるでしょう。
相手に伝わるということは、 メールを通じて「相手から意図する対応を引き出す」ことができたということです。では、どうすれば相手から意図する対応を引き出すことができるのでしょうか? それは、以下の3つのポイントを意識してメールを作りあげることです。
それでは1つずつ解説します。
ポイント1 相手に対応して欲しいことを具体的に書く
自分がメールを受け取ったときのリアクションを思い出してみましょう。
①メールが届く ⇒ ②送信者名とタイトル(件名)を確認 ⇒ ③今すぐ開封すべきか後回しで良いか(緊急性)を判断 ⇒ ④メール開封 ⇒ 読み進めながら返信の要否を判断 ⇒ ⑤いつまでに、どういう内容の対応が求められているか(期限と内容)を確認
メールを読みながら、自分に求めらている対応について無意識のうちに判断したり考えたりしていますね。そこで、第1のポイント「相手に反応して欲しいことを具体的に書く」です。相手がメールを読みながらそういった判断などが下しやすいように、次のことを具体的に書きましょう。
- 緊急性の有無 該当する場合のみ。例:件名中にURGENTの語を含める。
- 返信の要否 メール本文の書き出し部分に、それとわかるような表現を入れる。例:I am writing to ask you about…
- 対応して欲しい内容 具体的に書く。本文中に箇条書きにすると、それぞれに対する返事をしてもらいやすい。
- 返信の期限 期限があれば具体的に書く。例:Please reply to us by the morning of August 7 (Japan time).
- メールの受け取り確認の要否 必要に応じて本文の末尾に各。例:Your acknowledgement of receipt of this email would be appreciated.
ポイント2:平易な単語を使い、文の構造はシンプルに
メールの本文を英語で書いていく時、決まったフレーズが使えるところ以外は、自分で英作文をすることになります。ここが一番難しいところだと思いますが、次の点に気を付けましょう。
- できるだけ自分が使いこなせる単語を使って文を組み立てる。自信のない単語については、こまめに辞書(できれば英英辞書)を使って意味と使用方法を確認しましょう。
- 文の構成はできるだけシンプルにする。英語では、主語+動詞の組み合わせによって出来事を伝えます。読み手が頭から読みながら、主語とそれに対応する動詞の関係をストレス無く追えるような構成が理想です。
- 英文法にはできるだけ正確に。ビジネスメールでは正確に意思が伝わることが求められます。英語の文法に従って思考を組み立て直す、という作業が要求されます。基本的な英文法を確認できる文法学習書を手元においておきましょう。
- 上の3つの項目について助けになるのが、インターネットのGoogle検索です。自分が使おうとする語句やフレーズが英語圏で実際に使われているかを簡単に調べることができます。例えば、「可愛いパンダ」を英訳したいとき、「pretty panda」か「adorable panda」のどちらが米国でよく使われるかを調べるには、米国のサイトに限定する検索式を使って、「”pretty panda” site:us」と「”adorable panda” site:us」とそれぞれ入力して得られた結果を比較します。検索結果数や表示されたサイトの該当部分を見比べると、米国で自然な言い方は「adorable panda」という結果が推測できます。
ポイント3:相手を思いやる
日本語のメールでも同じですが、相手の立場、事情、性格、事案に対する理解度などを考えて、相手に受け入れられやすい文章を作る必要があります。どうすればメールを読んだ相手に対応してもらいやすくなるか、精一杯考えましょう。この手間をかけるかどうかで、相手からの反応が変わってきます。
例えば、次のようなことが挙げられます。
- ポジティブな表現を使う。書いた文章を再読してみて、否定形を多用しすぎていないか、ネガティブな単語が目立ちすぎていないかチェックしましょう。ポジティブな単語や表現が含まれていると、読み手も積極的に応援したくなります。
- どの程度の反応を望んでいるかを伝える。相手によっては、こちらの希望以上に詳細に調べて返信して、場合によっては費用請求されてしまう、という事態も起こり得ます。相手の努力が無駄にならないように、費用発生の可否は明確にしておきましょう。使える状況であれば、回答用のフォーマットを添付しておいて、それの枠内に記入してもらうという方法も有効です。
- 選択肢を提示する。漠然と問い合わせるよりも、選択肢があったほうが、相手にとっては答えやすくなります。こちら側で想定した状況がある場合は、具体的な状況に基づいて質問すれば、3手もその範囲に限定して検討できるので、回答しやすくなります。
- 代案を提示する。Aに対応できない場合は、Bに対応して欲しいことをあらかじめ伝えておけば、最初の返信で十分な回答が得られます。
以上の3つのポイントを意識して日々メールを書いていけば、必ず違いは出てきます。相手からの返信を見ればどの程度伝わったかがわかります。最後に、伝わるメールのためのセルフチェック用の12項目を挙げておきます。
No. | メール送信前のチェック項目 | チェック欄 |
---|---|---|
1 | 件名から、メールの要件(依頼、問合せ、連絡など)を容易に読み取ることができるか? | |
2 | 件名欄に、必要な場合、Urgent(緊急)、RSVP(要返信)などの表示はあるか? | |
3 | 本文の書き出し部分で、メールの目的を端的に表現しているか? | |
4 | 相手に対応を求める場合、段落を変える、箇条書きにするなど、わかりやすく書かれているか? | |
5 | 相手の対応に期限をつける場合は、期限の日時がわかりやすく書かれているか? | |
6 | 相手がメールを受け取ったことの確認を求める場合、そのフレーズ(定型文)を入れたか? | |
7 | 自信のない英単語や英文法は辞書等で調べて、正しく使われていることを確認したか? | |
8 | 一文が長過ぎない(長くても2~3行以内にとどめる)ことを確認したか? | |
9 | 受動態(受け身)を多用していないことを確認したか? | |
10 | 相手の氏名、固有名詞を含み、スペルミスはないか確認したか? | |
11 | 送信者の氏名、署名部分(連絡先、電話、メールアドレス)が正しいことを確認したか? | |
12 | 送信先、cc、bccに書いたメールアドレスがすべて正確であることを確認したか? |
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