地元を元気にするブランド認証制度|成功のための3つの条件

最終更新日 2021-07-05

  • 地域の良いものを活かした特産品を作りたい
  • 地域産品の良さが消費者に伝わっていない
  • 地域ブランドをどのように作り上げていけばよいかわからない

とても悩ましいところだと思います。

地域ブランドの成功事例はマスコミなどで大きく取り上げられます。例えば、地名自体が観光地として抜群に良いイメージを持つもの、「ゆるキャラ」で有名になったもの、高品質の製品だけが名乗ることが許された地域ブランドなどです。

これらは強力なブランド力を持っているので、消費者が興味を持ちやすく、商品に関するメッセージが伝わりやすいため、その地域を訪れる観光客が増えるという好循環を生むことがあります。

そのような強力なブランド力を持ち合わせていない場合にも、有効な方法はあります。ブランド認証制度を活用することです。地域の権威ある団体が認定した地域特産品として、地域で既に人気のある産品を「地域ブランド化」する方法です。

地域を元気にするブランド認証制度が成功するために欠かせない3つの条件を紹介します。

記事の内容:

条件1 既にファンがいて買ってもらえる商品があること

当たり前のようなことですが、まずは買ってもらえる商品があることが大前提です。地元のファンがついているような完成度の高い商品です。

そして、商品と地域との間に密接な関係が必要です。原料がその地域産、地域独特の自然環境を利用、地域独特の伝統製法を使用、地域の名物に由来した形状、産業集積地域、など様々な観点からの関連性が考えられます。

地域ブランドは地域全体の活性化を目指すものなので、原材料の生産者、加工者、流通販売者が有機的に連携しあえることが成果に直結します。それを後押しする自治体などの協力も不可欠です。

条件2 安心して購入できる目印があること

条件1でみた個々の業者が作る商品にはそれぞれの商品名やブランドが付いています。そのブランドは地域の消費者には安心・信頼の目印となっていると思います。しかし、初めてその地域を訪れる消費者には十分な情報がありません。

そこで、消費者が信頼して購入できる目印として、その地域でのブランド認証制度が効果を発揮します。これが地域ブランドとなります。

ブランド認証制度とは、自治体や生産者協議会などの第三者が、地域を代表する商品としてふさわしい商品を厳選して、地域ブランド産品として認証し、特定の名称やロゴマークを使用できるようにするものです。「〇〇セレクション」、「〇〇ブランド認証品」といった使われ方をよく目にします。

商品選定のプロセスや選定の基準、認定を受けた生産者が守るべき品質基準や品質管理方法を明確にし、公表することで、制度自体への信頼性が高まります。

愛知県内の例では、愛知県経済産業局産業部産業振興課 基盤産業グループが運営する愛知ブランド「Aichi Quality」、公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンターが運営する「尾州マーク」、豊田商工会議所が運営する「WE LOVE とよたマルシェ」、その他いろいろあります。

条件3 長期にわたって管理運営できる仕組みがあること

このような地域の商品があり、認定商品を厳選する制度を作ったら、これを長期にわたって管理・運営していくことが、地域ブランドの定着化につながります。

地域ブランドに関係してくるのは、生産者、農協などの生産者団体、商工会議所や商工会などの経済団体、自治体などの行政機関が一般的です。その中で誰が主体的な役割を果たすかを認知度や信頼性などを考慮して決定し、認証に関わる対象品目、認証基準、実施要領などの細目を取り決め、仕組みを構築し運用していきます。

需要なのは、継続的な取り組みであり、地域ブランド産品に関する情報を継続的に発信し更新していくことです。地域産品の利点や特徴、隠れた魅力について、それを活かした商品を研究し開発するのが生産者の役割だとすれば、消費者にわかりやすいように言葉やイメージで魅力などを伝えるのは地域ブランドの管理者の役割だと言えると思います。

ブランドは長期間にわたって継続的に使用されることで、認知度が高まり信用も蓄積します。息の長い取り組みとなるよう強いリーダーシップと柔軟な連携がカギとなります。