最終更新日 2024-08-15
英文メールを書いていると、自分が書いた英文が正しく伝わるかどうか自信が持てないときがあります。でも近くにチェックをお願いできる人がいない。そんな時は自分でやるしかありませんね。今回は、簡単にセルフチェックできる方法を紹介します。
これをやることで、読みにくい箇所やケアレスミスを最小限に抑え、相手に伝わる英文メールを書くことができます。この記事では、まずは2つの観点からのセルフチェックの仕方を紹介し、最後に英文メールが上手く書けるようになるコツを紹介します。
1.メール本文を見た目からチェックする
【①1つの文の長さは適切か】
1つの文が長過ぎないかチェックしましょう。長くても2~3行程度(約40単語程度)までにしておきましょう。1文が長いと、文の構造や、語句のかかり具合が不明確になりやすくなります。その結果、読み手が、無理なく素早く意味をとることが難しくなります。
1つの文が長すぎると感じたときは、文の中の要素のつながり方を見直して、適当なところで1文を終了させます。そして、残りの要素を新しい文で表現します。思い切って文の構造を単純にしましょう。そうすると意味が伝わりやすくなります。伝わりやすさを優先させましょう。
【②段落の分け方は合理的か】
1つの段落では、伝えたいことを1つに絞るようにしましょう。読み手は、段落が変われば、別の伝えたいことを読みとろうと推測しながら読み進めます。1つの段落に伝えたいことをあれもこれもと含めてはいけません。読み手が最も重要だと思うポイントのみに注目してしまい、それ以外のポイントを見落としてしまう可能性があります。
特に、相手に回答や対応を求める場合は、ポイントが明確に伝わるように注意します。1つの段落に複数の要素が含まれる場合には、各要素を箇条書きにすると伝わりやすいです。
場合によっては、1つの文からなる質問や依頼事などは、それだけを1つの段落として扱うこともできます。
【③接続詞は正しく使われているか】
日本語の文章だと何気なく接続詞を使ってしまうことがあると思います。特に意味もなく、あると落ち着く程度の理由で、「ちなみに」とか「つきましては」とか「したがって」など、使うことがあるのではないでしょうか。しかし、英語では、接続詞は文や段落を論理的につなげるために使われます。
自分が書いた文章の接続詞に注目して読み直してみましょう。それぞれの接続詞が、意味を論理的に解釈するために必要に応じて正しく使われているかという観点からチェックします。不必要、不適切なものがあれば、削除または修正しましょう。
【④同じ表現の繰り返しを避ける】
「I」や「We」で始まる文が最初から最後まで続くと、子供っぽい印象を与えたり、押しつけがましく感じさせることもあります。文章の流れを壊さないように、文頭の語句やフレーズを選択しましょう。主語に「You」や「It」などの無生物主語を使えば、視点が変わります。その結果、文章に流れがでて読みやすくなり、読み手が状況を理解しやすくなる場合があります。
「Please」で始まる文は実は命令形ですので、何度も出てくる場合には高圧的ともとられかねません。他の柔らかい表現を使えないか(例えば、「We would appreciate it if you would 」など)、工夫してみましょう。
受動態は、どうしても必要な場合以外は使わないようにします。行為の主体が不明確になり、曖昧な印象を与えます。メールの英作文では基本的に能動態を使い、「何が(誰が)、どうなった(何をした)」というように、テンポよく話が進むようにしましょう。
2.文中の単語やフレーズが適切かをチェックする
【①コロケーションのチェック】
名詞と形容詞など単語と単語の組み合わせが英語として自然かどうかをチェックします。和英辞書などで調べた英単語動詞を組み合わせただけでは、英語として不自然に聞こえる場合があります。
例えば「可愛いパンダ」を英語で書きたいとき、「可愛い」は「pretty」で「パンダ」は「panda」だから「pretty panda」としたら、ネイティブの方にその組み合わせは不自然だと言われました。「pretty」の形容詞は女の子やバッグなどに使う場合は良いけれど、「panda」には「cute」か「adorable」がより適切だとのことでした。こういうところはなかなかネイティブでないとなかなか気づけませんね。
自信のない単語の組み合わせを使う場合には、グーグル検索の完全一致検索(引用符で囲む)と特定サイト検索(「site:〇〇〇」)を使って次のように調べてみましょう。
検索窓に入力した文字列 ヒットした件数(検索時点) “pretty panda” site:us ⇒約2,180件ヒット “cute panda” site:us ⇒約25,300件ヒット “adorable panda” site:us ⇒約22,700件ヒット
上記の例は、あらかじめ和英辞書やコロケーション辞典で別の候補「cute」、「adorable」を見つけて、それぞれが英語圏のアメリカ合衆国のサイトでどのように使用されているかを調べたものです。サイトの内容を検索結果から確認して、安全そうなサイトをクリックしてどのように使われているかを確認して、最終的にどれかに決めます。サイトは「uk」や他の英語圏の国のものに限定してもよいです。
【②フレーズのチェック】
自分が使おうとするフレーズが実際に英語圏で使用されているものかを上記と同様にグーグルで検索します。フレーズともなると完全一致でヒットする件数は少なくなると思います。その場合は、次の方法を試してみましょう。(サイトを特定する国を変えることや、サイト特定をしないことも有効な場合があります。)
- 他と置換えられる単語は省略して検索する
- 他と置換えられる単語を「*」(アスタリスク記号)に置換えて検索する
- 一部の単語を別単語でもヒットするように「|」(縦棒)で列挙して検索する
例えば、「せっかくのご期待にお答えすることができず申し訳ありません」を英語に訳すとき、「We sincerely apologize for not meeting your expectations.」という文を作ったとします。この表現で大丈夫かどうかを調べるには……
上記1の例(中心となる構文は正しいかどうかを確認したい場合) 検索式:“apologize for not meeting your expectations” site:us または、 検索式:“apologize for not meeting your” site:us で検索します。
上記2の例(meeting以外によく使われる動詞はあるかを確認したい場合) 検索式:“apologize for not * expectations” site:us で検索します。
上記3の例(meeting, satisfying, realizingの3つの候補のうちどの動詞を選べばよいかを確認したい場合) 検索式:“meeting|satisfying|realizing your expectations” site:us で検索します。
以上は、検索方法の一例です。その他にも検索演算子がありますので、様々に組み合わせて検索すれば精度は上がります。しかしビジネスにおいては時間が限られていますので、自分に合った検索方法を見つけて、素早くその英文で良いかを決断することも大切です。
検索方法については、書籍「ちょっと検索! 翻訳に役立つ Google表現検索テクニック」安藤 進著がとても参考になります。
3.上手くなるコツ
以上のようなセルフチェックと検索を駆使すれば、それなりの英文が出来上がると思います。やはり基本的な文法の知識は絶対に必要ですし、知らない単語は辞書でコツコツ調べるという作業は欠かせません。最後に、英文メールが上手くなるコツを紹介します。
関係する業界の公式な英語サイトで使われている表現や、ニュースレターを読んで気に入ったフレーズや、実際にメールをやり取りしている相手が使っているスマートな英語表現をストックすることです。そして、それを実際に使ってみることです。常に良い英語表現はないかな、使えそうな表現はないかな、という意識を持って英文を読む習慣をつけるだけでも、英語のセンスはグンと磨かれていきます。
ネイティブの添削を受けられる環境にいるのであれば、修正された箇所をよく見直し、特に何度もチェックされるところは意識的に自分のものにしていくことが大切ですね。
以上、自作した英文メールのセルフチェック法を紹介しました。メールをその外観からポイント毎にチェックする方法と、文中の単語やフレーズをチェックする方法を解説しました。これを使えば、英文メールの下書きが出来上がった後に、全文を見渡してみて修正点・改善点を自分で発見することができます。
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