最終更新日 2022-11-14
外国人を雇用するにあたっては、日本人を雇用する場合とは違った点に気を付ける必要があります。外国人の在留資格について、外国人を雇用するという観点から知っておきたいポイントを3つ紹介します。
1.在留資格とは?
外国人が日本に在留し活動するために必要な入管法上の資格です。ここでいう外国人とは、「日本国籍を持っていない人」です。
在留資格には、日本で行うことができる活動によって分類された25の在留資格(便宜上、「活動系在留資格」とよびます)と、日本において有する身分又は地位によって分類された4つの在留資格(「身分系在留資格」とよびます)があります。日本に滞在する外国人には、いずれか一つの在留資格が出入国在留管理庁(入管)によって与えられます。合計29の在留資格の中から自分が該当する一つの在留資格を与えられて、入管によって定められた期間(在留期間)日本に滞在することができます。例外として、「高度専門職(2号)」と「永住者」の在留資格については、在留期間は「無期限」とされています。
25の活動系在留資格には次のものがあります。「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」です。
4つの身分系在留資格には次のものがあります。「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」です。
この29の類別は正確に理解しようとするととても複雑です。採用しようとする外国人にはどの在留資格が必要になるかの判断も簡単ではありません。入管のホームぺージに、在留資格一覧表が掲載されていて、どのような職業や社会的身分が該当するかが例示されていますので、自分の会社に関係がありそうな在留資格を中心にチェックしましょう。
2.就労制限のある在留資格とない在留資格
在留資格には、報酬を得て働くことが①その在留資格で行うことができる活動に制限される(業務が限定される)ものと、②原則として就労が認められていないものと、③就労制限のないものの3種類に分けられます。
① | 業務が限定されて就労可能 | 「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「特定活動の一部」 |
② | 原則として就労不能 | 「留学」、「研修」、「家族滞在」、「文化活動」、「短期滞在」、「特定活動の一部」 |
③ | 業務の制限なく就労可能 | 「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」 |
①の業務を限定して就労が認められる在留資格は、それぞれの在留資格で決められた範囲の就労活動を行うことができます。つまり、あらゆる職業を自由に選択できるような仕組みにはなっていないことに注意してください。
例えば、外国人が美容師として就職することはできません。また電気工事士として就職して現場作業に従事することはできません。これらに対応する在留資格は無いからです。
但し、これらの外国人が③の在留資格を持っていれば、そもそも業務の制限はありませんので就労可能です。その他、この次に紹介する②の在留資格を持っている方で資格外活動許可を取得した場合には、時間制限付きですが、アルバイトとして就労できる可能性があります。
②の原則として就労が認められていない在留資格では、本来の活動に専念するためや、そもそもの滞在の目的から就労することが適切でないため、就労が認められていません。しかし特別の許可(資格外活動許可)があれば、1週間に28時間までというように就労時間の制限付きでアルバイト等の報酬を得る活動が認められる場合があります。
③の就労制限のない在留資格は、いわゆる身分系在留資格です。ある意味日本人に近い身分をお持ちの方です。これらの在留資格を持っている外国人は、基本的にどのような仕事にも就くことができます。
これから雇用しようとする外国人が、自分の会社で行うことになる業務に合致する在留資格を取得することが必要となります。外国にいる外国人を雇用のために日本に招く場合には、あらかじめ「在留資格認定証明書」を取得しておき、日本に上陸する時に在留資格が付与されるというプロセスをとります。雇用しようとする外国人が既に日本に住んでいる場合には、必要に応じて「在留資格の変更」の手続きをとります。
3.在留資格の確認方法
既に日本に住んでいる外国人を雇用する場合には、その方がどのような在留資格で日本に在留しているかを正確に把握する必要があります。併せて在留期間がいつまでなのかも確認しておく必要があります。
確認方法は、外国人が常時携帯義務のある「在留カード」を見せてもらって確認します。在留カードの見方については法務省のホームページに掲載されている「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方が参考になります。
在留カードの表面で、在留資格の内容、在留期間と満了日、就労制限の有無についてよく確認しておきましょう。裏面では、資格外活動許可を受けているかどうかを確認できます。また、在留期間の満了日を過ぎていても、在留資格の更新や変更の申請中であればその旨が記載されていて、満了日から2カ月間は有効となる場合がありますので慌てないでください。
在留資格が「特定活動」の場合は、在留カードだけでは特定活動で認められた活動の内容までは知ることができません。特定活動の在留資格を有する外国人の場合は、パスポートに特定活動の内容が記載された「指定書」が貼り付けられていますので、それを見せてもらって確認しましょう。在留カードを携帯する場合にはパスポートの携帯義務は課されませんので、その場で確認できない場合は、改めて持参してもらうようにしましょう。
まとめ
在留資格は、日本国籍を持たない外国人に付与される日本に在留するための法的な地位のことです。外国人は、一つの在留資格を持ち、法律等で決められた活動を、決められた期間に限り日本国内で行うことができます。
決められた活動以外の活動(特に収入を得る活動)を行ったり、決められた期間を経過して日本に滞在したりすれば、法律違反として処罰の対象となります。また在留資格が取り消される場合があります。
外国人を雇う日本の企業にとっても、不法に外国人を就労させた場合には、不法就労助長罪として処罰の対象となります。更には、外国人の雇用に関する管理を適切に行うことができない事業者として、今後の外国人の新規雇用や現在の外国人従業員の在留資格の更新申請等の審査に不利益を及ぼす可能性があります。
外国人雇用については知らなかったでは済まないことが多々あります。一つ一つ確認しながら、必要に応じて行政書士などの専門家を活用しつつ、慎重に物事を進めて行きましょう。