最終更新日 2023-07-01
社会人になって独学で英語を学ぶ方法はいろいろありますが、目的に応じた勉強をするのが効率的です。
試験合格のためなら問題集をこなす、旅行の英会話で必要なら場面ごとの会話表現を覚える、ライティング力をつけたいなら実際に何か書いてみて外国人に添削してもらう、リスニング力をつけたいならスクリプト付きのPODCASTを聞く、スピーキング力をつけたいなら外国人と話をする、英語の読解力をつけたいなら多読・精読する、などなど。
しかし、特に必要に迫られていないときでも、普段から少しの時間でも英語に触れることを継続すること。それが長い目で見ると成果につながります。日々の生活の中で、自分の好きな時間に英語に触れられる方法としておススメなのが、英語で書かれたものを読むこと。
英語を読んで学ぶことで、新たな知識が身につく、英語で考えるクセがつく、英語に慣れることができる、英語のアウトプットにつながる、など大きなメリットが得られます。
記事の内容:
- 英文を読んで学ぶことのメリット
- 英文を読んで学ぶことのデメリット
- 効果的な英語の読み方
- 日々の取り組み方
1.英文を読んで学ぶことのメリット
次のようなメリットがあります。
- 文字で書かれているから、わからないことをじっくり調べることができる。
- ちゃんとした出版社から出されている本や雑誌であれば、正しい英文法で書かれていることが期待でき、生きた英文法の教科書としても使える。
- 英文を読むことに対する忍耐力、耐久力が身につく。
- 英語の文章の頻出パターンに馴染むことができる。
- 英文を頭から順に意味をとれるようになる。(次にくるものを予測できるようになる。)
- ボキャブラリーが増す。
- いちいち日本語に訳さないで、英語で考えられるようになる。
- 英語を書いたり話したりするときにも、読んで覚えたフレーズが頭に浮かぶので役立つ。
- 英語を聞く時にも、英文の構成に慣れてきているので、予測を立てて聞けるので理解に役立つ。
- 興味のあるテキストを自由に選べるので、自分が必要とする知識を得たり、作品を楽しんだりできる。
- 日本では入手しにくい知識を得ることができる。
- マイペースで学習できる。
2.英文を読んで学ぶことのデメリット
次のようなデメリットが考えられます。
- 自分が読みたい英語のテキストを入手するのが困難な場合がある。お金がかかる。
- 他人から勧められたものが、どうしても自分に合わないことがある。
- 自分にあった教材・テキストを選べない。
- 読むのに時間がかかる。
- わからない単語が多いと挫折しやすい。
- 意味などを調べている間に話の筋を忘れてしまう。
- 調べても意味がわからない部分が残ってモヤモヤする。
- 自分の理解が正しいか確認できない。
- 学んだことが、試験などの結果に直結しないような気がする。
- リスニングやスピーキングの勉強をしなくてよいか不安になる。
このようなデメリットへの対処方法は、適切なテキストを選択する、完全な理解は求めない(むしろ新しい知識を得ること読書そのものを楽しむ)、すぐに効果を期待しない、アウトプットを兼ねて身近な外国人に質問する、など、いろいろあります。
3.効果的な英文の読み方
(1)自分にあったテキストを選ぶ
テキストを選ぶコツは、
- 取り入れた情報をアウトプットすることを考えて、自分が誰かに話したいこと、誰かと意見交換したいことが書かれているものを選ぶ。
- 見た感じで読み切れそうなそうなものを選ぶ。
読書なので、人それぞれ好みがあり、その時々の気分でも好みは変わります。本を選んでも、その英文が自分に合う・合わないがあります。日本語の本でも自分と波長が合って読みやすい作家と、何となく読みにくい・合わないと感じる作家がいることは確かです(一説によると、動物占いで相性が良い作家は読みやすいと言われています)。自分が興味のある読みたいものを選んで試していくうちに、傾向がつかめると思います。
小説が好きなら短編がおススメです。7ページから10ページ前後のものから始めて、徐々に長いものを読んでいくのが良いでしょう。ただし、短いからといって読みやすいとは限りません。
参考として、読みやすく楽しめた短編小説を3つ挙げます。
- F. Scott Fitzgerald “Three Hours between Planes”
- Truman Capote “Music for Chameleons”
- John Updike “A Sense of Shelter”
小説以外では、自己啓発(Self-help)系の本やビジネス書など面白いと思います。ご自身の悩みや、業務スキルに関すること、興味のある分野のものから見つけましょう。
ビジネス系や自己啓発系の英文ブログやPodcast、Youtubeなど、無料でアクセスできてるサイトが数多くあります。そこで紹介される本に興味を持ったり、著者との対談を聞いたりすることで、自分の関心のある分野について、英語を介して世界がどんどん広がっていきます。サイトによっては、話した内容を文字起こし(トランスクリプト)してくれているものもあるので、非常に役立ちます。
参考までに、私が時々聞いているPodcastを紹介します。
- The Tim Ferriss Show 日本の文化にも詳しいティム・フェリス氏のポッドキャストです。毎回、話題作の著者との対談が素晴らしいです。トランスクリプトあります。
- THE NEW YORKERのFICTION PODCAST 雑誌「ニューヨーカー」に掲載された作家が別のニューヨーカー作家の同誌掲載作品を朗読し、素敵な声の女性司会者と対談します。
- THE MARIE FORLEO PODCAST ブルーオーシャン戦略の著者の対談を探してここにたどり着きました。とてもパワフルな女性起業家が司会者となり、各界の著名人にインタビューします。トランスクリプトあります。
(2)基本的な英文の構成や読み方を知っておくと理解が深まります。
①パラグラフの構成
英語では、基本的な構成として、一つのパラグラフには、一つの主張(main idea)が置かれます。そして、多くの場合、パラグラフの最初の文がトピック・センテンスと呼ばれ、主張を提示します。その後、主張をサポートする理由や詳しい説明が続きます。トピック・センテンスはパラグラフの最後に置かれる場合もありますし、最初と少し表現を変えて最後にも置かれる場合もあります。
パラグラフ毎に何について書かれているのかを押さえながら読んでいくと、意味を見失うことを避けることができます。
②スキミングとスキャニングの活用
「スキミング」とは、「文書にざっと目を通して素早く要点をつかむこと」です。目次を確認したり、本文の見出しを目で追ったり、各段落のトピックセンテンスを見つけたり、といったことを素早く行うのです。
これから読もうとする文章の、どこに何が書いてあるかを、前もって大まかに把握したいときに使います。精読する前に、重要な箇所がどこにあって、おおよそどんなことが書かれているかをざっと把握します。このような情報を先に入手しておけば、迷わずに読み進めることができます。
「スキャニング」とは、「文書にざっと目を通して素早く文書中の特定の単語やフレーズを探しだすこと」です。
これらを活用することで、これから読もうとする文章全体にざっと目を通して、どこにどんなことが書かれているかをあらかじめ確認してから読み始めることで、要領よくポイントを押さえることができます。
一文ずつ文章を読み進めながら味わう小説などの場合、最初に全部を見渡してしまうことはしないですから、スキミング、スキャニングは基本的には使いません。途中で、登場人物の名前や発言を確認したり、ポイントとなる出来事を振り返ったりする場合、つまり効率よく再読する場合に使える手法です。
目をよく動かして、英語から視覚的に情報を取得するという習慣が身についてくると、英語を見て日本語に置き換えずに英語のまま瞬時に理解する、つまり英語で考える力がつきます。
③一つの文を意味上の「かたまり」で把握することを意識する。
一文の中でどこからどこまでが主語にあたるか(誰が、何が)、その文の述語となる動詞はどれか(どうした、~だ)、動詞の目的語となる部分はどこからどこまでか(誰に、何に)、主語や目的語を説明する補語にあたる部分はどこからどこまでかなど、単語の「かたまり」を意識して、大まかに把握する習慣を身につけると、初めのうちは一語一語に意識がいっていたのが、次第に単語の「かたまり」を一体として把握できるようになり、読むスピードが上がってきます。
この「かたまり」は、音読するときの、抑揚や息継ぎのための区切りとなることがあります。これが意識できると、英語で話すときにも伝わりやすくなるし、聞く時にも意味をとりやすくなります。
3.日々の取り組み方
少しずつでも、英語を毎日読みましょう。1冊でなくても、複数のテキストを用意して、気が向くまま読んでも構いません。1日1ページ以上ずつ読むだけでも、継続すれば大きな違いが生まれてきます。
分からない単語をその都度辞書で調べていると全体の流れがつかめなくなるので、何度も登場するようなキーワード以外、辞書は引かずにとにかく読み進めましょう。
しかし、どうしても意味を知りたくなったら、躊躇せず調べましょう。読書から新たな知識を得ることが最大の目的なので。調べるのが苦痛になるほどだったら、いさぎよくあきらめて、別のターゲットに取り組みましょう。
小説の場合は、ストーリーの流れの妨げにならないように、区切りの良いところまでを、一度目は通し読みし、その後不明点の意味を調べておいて、二度目の通し読みをすると良いと思います。
最後に、読んで頭の中にインプットしたことを、書いたり、話したりとアウトプットしていきましょう。話のネタにすることで、少なくとも自分が今何に関心があるのかを相手に伝えることができ、コミュニケーションのきっかけになります。
読むことは独学に最適です。アウトプットを意識してのテキスト選び、アウトプットの実践によって、受け身的にとらえていた読書がアクティブな勉強方法に変わります。英語を介して得られるインプットを自分流にアウトプット、このサイクルを回すことで、英語が自己表現のツールになります。