英文リーディングで実践しよう!早読みの3つのコツ

最終更新日 2023-07-01

  • 英語の洋書を読みたいけれど、読み切れるかどうか自信が持てない。
  • A4紙1ページくらいの文章でも集中力が続かない。
  • 読み方のコツがわからない。

そんな悩みを持ちながら英語を学んでいるあなたに、僕が実践してきた英文の「早読み」のコツを紹介します。

学生時代の専攻は英語だったのですが、当時は洋書を1冊読み切るのにとても苦労していました。むしろ最後まで読めなかった本の方が断然に多かったです。

簡単そうに見えた最初の一文からつまずいたり、途中何度も辞書で意味を確認するので話の流れがわからなくなったり。

それでも何とか最後まで読み切れたときは、まるで、泳ぎの苦手な人が息を止めたまま25メートルプールを泳ぎきったようなものでした。読み切ったという達成感はあったものの、読書の楽しみを感じることはできませんでした。

英語を読む力がついたのは、やはり語学留学先の授業で読み方を学んだことと、実際に集中的に大量の英文を読んだことが役に立ったと思います。授業でどのように学んだかは詳しくは覚えていませんが、そのエッセンスは身についているようです。

今回は、僕が身につけた英文の早読みの3つのコツを紹介します。これらは日本にいながら、英語を読む時間があるときにすぐに実践できるものです。

  1. 【コツその1】読む目的を明確にして、何を得るべきかを把握しておく
  2. 【コツその2】目の働きを活用して必要な情報を素早くキャッチする
  3. 【コツその3】英文の頭から順番に意味をとり、主語と述語動詞を意識する

1.【コツその1】読む目的を明確にして、何を得るべきかを把握しておく

これは、「相手を知る」ということです。これから読もうとする文章がどういうタイプであるかを考えずにやみくもに読み進めてもすんなり理解できません。同時に、それを読むことで何を得ようとしているのか、読むことの目的を明確にする必要があります。そして、その目的に対して効率のよい読み方をすることが大切です。

(1)例えば、ビジネスメールを読むときは、その目的は、「相手からの用件は何か」を知ることです。効率のよい読み方とは、相手からの用件が書かれている部分を素早く探し出して、そこを重点的に読むことです。

(2)雑誌やウェブサイトの記事を読むときは、その目的は、その記事から「自分が必要とする情報を入手する」ことです。効率のよい読み方とは、まずは記事全体をざっと見渡して、見出し、小見出しを参考にしながら必要とする情報やキーワードが書かれている部分に見当をつけます。それから全体の構成を大まかに頭に入れた上で、頭から、強弱をつけながら読み進めるのが効果的です。

(3)行政文書、法律文書、ビジネスレポートなども同様です。「自分が必要とする情報、知っておくべき情報を入手すること」が目的となります。目次、前書き、見出し、小見出し、項目、箇条書きのリスト、図表など文書全体をまずは俯瞰して、重要部分に見当をつけておきます。それから、頭から強弱をつけながら読み進めるのが効果的です。

(4)小説などの物語を読む場合は、その目的は、「物語の世界を楽しむ」ことです。物語が進展するにつれて主人公に共感したり、架空の世界を楽しんだりすることです。最初から順番にページをめくっていき著者の提示する文体を味わい、ストーリーを追いかけること自体が楽しいので、効率のよい読み方にはなじみません。強いて言えば、登場人物、場面、何が起きているかなどのポイントを必要に応じて付箋やメモ書きをしながら読むことだと思います。

2.【コツその2】目の働きを活用して必要な情報を素早くキャッチする

上記1の文書全体にざっと目を通すことにも関連しますが、「目」をしっかり使って英文を広い視野でとらえる訓練することが役立ちます。「スキミング」、「スキャニング」です。速読の訓練とよく似ています。

スキミングの語源である「skim」とは、英英辞書では次のように定義されています。

[intransitive, transitive] to read something quickly in order to find a particular point or the main points

Oxford Advanced Learner’s Dictionary

つまり、重要な情報が書かれている部分を探しだすために文書を素早く読むことです。「拾い読み」に近い方法です。

次に、スキャニングの語源の「scan」は、英英辞書では次のように定義されています。

[transitive, intransitive] to look quickly but not very carefully at a document, etc.

Oxford Advanced Learner’s Dictionary

つまり、文書全体にざっと素早く目を通すことです。「流し読み」に近い方法です。

スキミングやスキャニングという言葉の使い分け自体は重要ではありません。自分の好きなように両方を活用して、読書に役立てていけばよいのです。

目に入った情報が無意識のうちに情報として頭の中で瞬時に処理されるという状態です。残念ながら、書かれている英単語の意味を全く知らなければ、それを見ただけで意味ある情報として認識されることはありません。日頃から分からない英単語の意味を調べたりして理解できる単語の数が増えてくると、そのような処理ができるようになってきます。

一語一語を几帳面に目で追うのではなく、周りの単語も含めてできるだけ多くの単語(目安としては前後3語から5語程度)のかたまりで視覚的に把握して、移動させていくように全体を見ていきます。 その際、慣れが必要ですが、一語一語を音読せず、また頭の中でもできるだけ音に変換しないで、書かれている単語から視覚的に意味を把握するようにします(この場合、何度も目を動かして前に戻ったり、俯瞰してみたりするのは問題ありません)。

横書きの英文字に合わせた左右の視線の移動だけでなく、数行分をまとめて一度に視野に入れてそのパラグラフの構成を素早く把握したり、パラグラフ全体を俯瞰して広い範囲でのパラグラフの役割を大まかに把握したり、といった上下の視線の移動も行います。

この方法はかなりの訓練を要し、集中力を必要とします。知らず知らず頭の中で音に変換してしまうのは仕方ありません。ただ、これをクリアできれば、読むスピードが格段に上がります。慣れてきたら頭の中でもなるべく音読しないように習慣づけた方がよいと思います。

3.【コツその3】英文の頭から順番に意味をとり、主語と述語動詞を意識する

英文の意味を取るには、文の頭から順番に始めて、次にくる要素や内容を予測しながら読み進めます。できるだけ、逐一日本語に訳そうとはしないで、要素ごと意味をイメージとして頭に浮かべるようにします。

日本語という文法の異なる言語に無理に訳す必要はないので、後ろから前に戻って訳すのはやめましょう。前から順番に、要素ごとにイメージとして把握し、それが集まった一つの節や文という単位で意味を理解することを心がけます。

その際、一つの文の中で、主語の部分、述語動詞の部分、目的語の部分、説明を補っている補語の部分、修飾語の部分というように、文の中での位置付け、あるいは働き・機能を、「かたまり」として意識するようにします。

特に、主語と述語動詞(誰がどうした、何がどうなった)を意識すれば、文章の流れを見失うことはありません

そういう「かたまり」のレベルでザクっと頭の中に留めておいて、先に述べたように、前から順番に、かたまりの単位で、意味を把握していきます。

単語や熟語の意味がわからないとどうしても調べたくなります。しかし、まずは全体を理解するために、できるだけ意味を調べないで一度は通読しましょう。頭の中で意味を推測しながら、一度は通読します。

意味を調べるのは、その文書を読む目的に直接関係のあるキーワードを優先します。LONGMANやOXFORDなどの英語学習者向けの英英辞書を使うと効果的です。目的に直接関係しない部分に不明な熟語や言い回しがあっても気にする必要はありません。時間的に余裕があれば調べてもよいですが、そういう些末な部分は忘れやすいです。

最後に、その文書を読む目的を達成できたかを確認します。不明点、不足があれば、再度、該当する部分を中心に、今度はじっくりと理解できるまで読み直します。

むすび

上記のコツを実行すれば、英文から知りたい情報に早くアクセスすることができます。そうすることで、重要な部分をじっくり読み込む時間を確保できます。また、繰り返し全体を強弱をつけながら読み返すこともできます。

初めのうちはスピードにこだわる必要はありません。使用するテキストに知らない単語が多く含まれている場合は、必要な時に辞書を引いて意味を確認しなければならないことも多いと思います。それでも、同じテキストをだいたいの単語の意味がわかった状態で、上記の方法で繰り返し読んでみることで、英文に慣れることができます。

すぐには効果がでなくても、ジョギングや筋トレのように継続することが大切です。知らない単語があっても面倒がらずに、英文を読むことは自分にとって役立つ知識や情報を吸収するための手段だと思って、外国語に親しんでいきましょう。