製品パッケージをどう商標登録する?商標や商号、検討のヒント

最終更新日 2023-06-19

日用品や電化製品などの一般的な製品パッケージには、商品名、製品の一般名称、製造者や販売者の会社名称と住所、その他必要な事項が記載されています。ワンポイントのロゴマークや図形が書かれているものもあります。

製品パッケージに記載する要素について何を、どこまでの範囲で商標登録をすべきか、判断に迷うこともあります。

そこで、この記事では、製品パッケージの商標登録について検討する際の3つのヒントを紹介します。

  1. 商標登録できるのは識別力のある部分
  2. 商号は商標として使われるかがポイント
  3. 一つの商標登録出願に含められる要素はいくつまで?

1.商標登録できるのは識別力のある部分

商標とは、自社の製品と同種の他社の製品とを、製品の売買の際などに、区別できるようにするための目印となるものです。そのような商標を識別力のある商標といいます。「識別力」という用語については、ブログ記事「商標の識別力とは?具体例で解説」をご一読ください。

目印となるからには、ある程度、特徴的なものである必要があります。製品の一般名称、極めて単純な図形や記号、数字、ローマ字1字又は2字、製品の効能や効果・産地などを普通に用いられる方法で表示するもの、などは、登録できない商標とされています。(参考:特許庁ウェブサイト「出願しても登録にならない商標」の「1.自己と他人の商品・役務を区別することができないもの(商標法第3条)」)

製品パッケージの中で、識別力のありそうな要素を探しましょう。識別力は、一見なさそうに見えても、長期間にわたって継続的に使用されることで識別力を獲得して商標登録が認められる場合があります。どのような要素を商標登録出願の対象とするかは、弁理士と十分に相談されることをお勧めします。最終的な判断は出願人となるご自身が行うことになるので、相談する場合でも、自分でもある程度の知識は付けておいた方がよいでしょう。

2.商号は商標として使われるかがポイント

よく疑問にあがるのが、会社名称又は商号は商標登録すべきか、という点です。

これについては二つのポイントがあります。

①会社名称・商号は、法律等で表示が要求されているものを、普通に用いられる方法(例えば、会社名称を法人格込みで表示している、他の法的要求記載事項と文字フォントが同じで特別に目立たせるようにしていない、同じ書体・文字サイズで住所表示がすぐ近くにあるなど)で表示しているか。

②会社名称・商号の一部(特に法人格以外の部分)を、製品パッケージ全体の中でよく目立つように表示していたり、通称や愛称で会社を表示していたりするか。

①の場合は、法的要求事項に従った表示であり、商標として使用されているものではないので、そのような使い方しかしないのであれば、会社名称・商号について商標登録は通常は必要ないでしょう。

その一方②の場合は、商標として使用されているため、商標登録を検討すべきでしょう。この部分が、商品名に加えて、商品選択の目印として機能するので、そのような使用をするのであれば、他人の商標権を侵害しないかどうかの商標調査も必要です。

3.一つの商標登録出願に含められる要素はいくつまで?

「一商標一出願の原則」というものがあり、一つの商標登録出願では、一つの商標のみを願書に記載することができます。願書には、通常、8㎝の正方形の枠内に収まるように記載します。

一つの商標として認識できるものであれば、様々な要素を組み合わせることができます。例えば、ロゴマークと商品名称を表すカタカナ文字の組み合わせ、商品名称とキャッチフレーズの組み合わせ、会社名称とロゴマークの組み合わせなどの他、様々な要素が含まれた製品ラベルそのものを願書に記載して出願することもできます。

しかし、要素が増えることで別の問題(要素が増える分、拒絶理由に該当してしまうリスクも増える、登録された商標を実際にそのような態様で使用しない場合は不使用による登録取消しのリスクがあるなど)が生じる可能性があるので、どのような商標で出願するかについても、弁理士の方とよく相談してください。

まとめ

新たな製品を市場に出す前に、製品パッケージに記載される文字や図形などについて商標登録出願の必要について検討しましょう。独自にネーミングした商品名や、自社の製品であることの目印として使用される会社の愛称やワンポイントのロゴマークなど、いわゆる識別力を有する部分が商標登録出願の対象候補になります。会社名称・商号については、単に法的要求事項としての記載なのか、商標的に使用されているのかなどを考慮して決めましょう。一出願に含められる商標は一つだけなので、どこまでの要素を含めるべきかを、専門家の助けを借りながら、しっかりと検討することが大切です。